噫常夏の国なれや
巻 頭 言
流星落ちて住む処 橄攬(かんらん)の実の熟(う)るゝ郷(さと)
あくがれの南の国に つどひにし 我等
三年(みとせ)の夢も短しと 結びも終へぬこの幸を
或いは饗宴(うたげ)の庭に
或いは星夜(せいや)の窓の下に
若い高らふ感情の旋律をもって
思いのままに歌ひ給へ
歌は悲しき時の母ともなり
うれしき時の友ともなる
いざや歌わん
「ああ 常夏の国なれや」
- 噫常夏の 国なれや
花絢爛の 春あれど
木枯らし襲う 秋知らず
葛衣に耐えぬ 夏あれど
狐裘骨さす 冬知らず
惰眠栄華の 夢に酔う - 名も太平の 洋の西
深き眠りに 入れる秋
きたす黒潮 瀬を早み
沃饒の土に しぶき飛び
図南の急を 囁きぬ - 太平の夢 醒めて今
向上の気に 血潮湧く
若人七百(一千) 奮い立ち
図南の権威 たらんとし
茲城頭に 巣籠りて
翼鍛えぬ 幾星霜
安陵賛歌(安陵創立百周年記念歌)
- 春、安勝の 雲清く
松の緑は あざやかに
学びの同志は 希望持ちて
集い来たりし 名瀬の街
ああ安陵 我が安陵 永久に - 夏、新川を 渡る南風
赤木の葉音 爽やかに
学びの同志は 意気高く
文武の道に いそしめり
ああ安陵 我が安陵 永久に - 秋、新北風の 騒ぐ大洋
さしばの舞の その影に
学びの同志は 睦みつつ
理想の彼方 見つむらん
ああ安陵 我が安陵 永久に - 冬、立神に 寄する波
黒潮の流れ 此れを指す
学びの同志の 意志固く
幾星は 移りたり
ああ安陵 我が安陵 永久に
群巒色は紫に
- 群乱色は紫に
銀波さゆらく太平洋
青海原を堂々と
朝日子昇る曙や
希望の光輝ける
わが世の春に 似たるかな - 天の霊気を地に呼ぶと
胸の高鳴り覚えつつ
自重と自治の旗著し
起つや七百(一千)意気のか
嗚呼微笑みと誇らいの
雄々しき姿 見よや見よ
大高校歌
- 立神を繞りて清き 新潮の
香に立つあした 相和して
我らうたわん 夢若き自立の調べ
研学の理想に燃えて 見よ挙る
大島高校 - 安勝の緑に映えて 自主の窓
輝くところ 真理追う
個性豊かに 培うは不屈の気魄
友愛の誠も篤く 見よ励む
大島高校 - 新川のせせらぐほとり 春秋の
幸みつ学園 誇りある
その名かざして 天翔ける抱負の翼
みんなみの光と勢い 見よ進む
大島高校
巨竜雲を巻いて
- 巨竜 雲を巻いて 泰西 風狂い
妖虎 巍林に躍る ロッキー山脈
血と気に生くる若人の 向こうところ
手折で止むべき 月の桂を - 前人未踏の 雲霧の踏破を
誰か不能という アルプスの嶮
血と気に生くる若人の 向こうところ
手折で止むべき 月の桂を - 鼓角に血躍る 一夜を夜明かして
戦士集まる オリンピア祭り
血と気に生くる若人の 向こうところ
手折で止むべき 月の桂を
大中校歌(安陵愛唱歌)
- 嗚呼安陵を愛すべし
これぞわれらが住処(すみか)なる
光は常に南より
磨く至剛(しごう)の精神は
歌と古伝の大島に
燦然として輝けり - 嗚呼勤労を愛すべし
苦節はわれらを立たせたり
行幸(みゆき)の感激身に染みて
自治安陵の大旆(はた)のもと
剛健の風質実の
校是(こうぜ)のままに進みなん - 嗚呼わが道を愛すべし
至誠(しせい)は島を興すらむ
学問の宝庫鎖鑰(さやく)の地
名瀬の港に入る船の
出でては国を輝やかす
燦たり歌え我が母校
大中(大高)数え歌
一つとせ、 | 人里離れた松原の 中に大中(大高)はあるわいな |
大きな新川前にして | |
二つとせ、 | 冬でも夏でも松の色 変わらぬ緑につつまれて |
学ぶ生徒は七百(一千)余 | |
三つとせ、 | 皆様ご承知の大中(大高)生 年中一重の破れ服 |
暑さ寒さにゃかまやせぬ | |
四つとせ、 | 夜の外出禁じられ 昼でも出るときゃ制服を |
襟の破れ服着て出ます | |
五つとせ、 | 一番むずかし数学は 一週間にゃ十(七)時間 |
落第するのもこれが為 | |
六つとせ、 | むずかしい試験の問題に 頭なやます甲斐もなく |
やがて終わりのかねが鳴る | |
七つとせ、 | なんのかんのと理屈言う 上級性の面憎くさ |
そのくせ教師にゃ叱られる | |
八つとせ、 | やんちゃするのも二年まで 三年なればニキビ面 |
大人ぶるのも憎らしや | |
九つとせ、 | ここに五年(三年)の年つもり あとは卒業待つばかり |
憎らし教師もなつかしや | |
十つとせ、 | とうとう卒業となりました 明日は去ります名瀬町を |
さらば皆様健やかに |